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ガイドライン2020関連

AHA-BLS2020コースの質は、インストラクター次第で格差が生まれる

10月21日に発表された、アメリカ心臓協会蘇生(CPRとECC)ガイドライン2020に合わせ、BLS及びACLSのコースビデオ2020英語版が発売になっています。
ご興味がある方は、以下かから購入と閲覧が可能です。https://ebooks.heart.org/
同じく英語版で発売されているインストラクターマニュアル2020の内容を含め、AHA-BLSのコースがどのように変わるのかを考察いたします。

2015と比べ、2020のコースビデオ又はコース進行上で変わった点は以下の通りです。
・2020コースビデオには、Life is whyがありません。
・2020コースビデオには、オープニングのドラマがありません。
・2020コースビデオには、途中で挿入されるシチュエーション映像がありません。
・2020コースビデオは、ナレーションとPWW(ビデオを見ながら練習)だけで構成されています。
・ビデオの短縮により、コースにかかる時間が短くなる可能性があります。
・コースに妊婦のBLSが追加されました (11月11日現在、英語版のビデオではその項目がありません。今後追加されるのでしょうか。)
・コースの中にあるチーム蘇生の体験学習が必須項目でなくなりました。


ずいぶんと、ビデオが簡略化された印象です。これまでコースが始まる導入の部分では、ドラマや現場の体験談などが組み込まれていました。しかし2020ではこれが無くなり、いきなりナレーターによる説明が始まります。また途中に挿入されていたドラマ仕立ての動画もなくなり、ナレーションと練習で終始します。また、恐らくCOVID-19対策かと思いますが、チーム蘇生のトレーニングが必須ではなくなりました。

そのため、ビデオのナレーションで知識を覚え、1人でのBLSを習得して筆記試験に合格すれば認定カードが発行されることになります。
ガイドライン2015のコースで始まった、現場状況を考えチームで動けることを目指すコース内容とは真逆になった印象です。ビデオで知識を流し、お作法教育と言われる紋切り型の練習だけでコースを終わらせることができてしまいます。

AHAのコースでは、知識や技術を提供するインストラクターはビデオであり、その学びをサポートするのがコースを担当する実際のインストラクターの役割です。そのため、AHAコースではだれがインストラクターでも、AHAが設計する教育を受けることができる仕組みになっています。
一方、チーム蘇生の体験はオプション項目となっておりインストラクター次第で学ぶことができます。また、地域や受講者の特性などにより、インストラクターの裁量で学ぶ機会の追加項目を作ることも許されています。
そのためガイドライン2020のコースでは、インストラクター次第でその内容と質に大きな違いが出てきます。

【ミニマムで求められている内容】

・コースビデオを見る
・AHAが規定するPWW(ビデオ見ながら練習)を実施する
・AHAが規定する練習を実施する
・スキルテストに合格する
・筆記試験に合格する

【オプションが付いた場合】

・コースビデオを見る
・AHAが規定するPWW(ビデオ見ながら練習)を実施する
・AHAが規定する練習を実施する
・質の高いチーム蘇生の体験を実施する
・胸骨圧迫比率を測定し、BLSの質を体験する
・デブリーフィングを実施し、受講者自身が自ら気が付く機会がある
・地域のプロトコールについて学ぶ(日本のガイドライン2020など)
・スキルテストに合格する・筆記試験に合格する

【オプションと、インストラクターによる学びの提供の追加がある場合】
※私どもが実施するコースです。 
11月11日現在、2015の教材を使用して、2020の内容は補足でお伝えしています。

・コースビデオを見る
・AHAが規定するPWW(ビデオ見ながら練習)を実施する
・AHAが規定する練習を実施する・質の高いチーム蘇生の体験を実施する
・胸骨圧迫比率を測定し、BLSの質を体験する
・デブリーフィングを実施し、受講者自身が自ら気が付く機会がある
・地域のプロトコールについて学ぶ(日本のガイドライン2020など)
・受講者の職業や属性などに合わせた補足や、考え方を学ぶことができる
・追加のシミュレーショントレーニングがあり、さらに学ぶ機会が増える
・スキルテストに合格する・筆記試験に合格する


いずれも同じ資格発行となりますが、受講者にとって役に立つことができるコースの質は、インストラクターによって大きく変わります。
私どものコースでは、省略なしでかつ追加シミュレーションなどを体験できる設計としています。AHA-BLS2020コースは4時間以内に終了できることになっていますが、あえて時間を多くとり「実際に現場で使える」技術の伝達を目指します。

AHAコースに限らず、もし短い時間で取得をご希望の方がいらっしゃいましたら、その時間でできる最大限の内容を検討いたしますのでご相談いください。
詳細はホームページをご覧ください。皆様にお会いできます事を楽しみにしております。

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