やるべきこと3選(市民向け)
さっきの記事で、心停止には種類があることは分かったにゃ。
でも、それがどうBLSとつながるのか、教えてほしいにゃ。
はい!
それでは、心停止の分類ごとに、やりたいことを、考えてみるね。
はいにゃ。
まず種類に関わらず、必要なことを考えてみましょ。
例えば、川で浮いている10歳くらいの子どもをみつけてしまったとするね。
何とか引き上げたところ、反応がなく、呼吸は全くなかったの。
そうしたら、まず何をやればいい?
応援を呼んで、救急車呼んで、AEDを持ってきてもらうにゃ。
あら。
くろまる君にしては、上出来ね。
照れるにゃ。
ぴぴちゃんにも、くろまるが成長した姿を、見せたいにゃ。
はい、はい。
1人での対応は無理だし、少人数だと限界があるから、人を集める事が必要ね。
さて、ここからがこの記事の本題よ。
次に、何をする?
AEDにゃ。
AEDが優先にゃ。
AEDがあれば助かるにゃ。
半分正解だけど、は・ず・れ
自信あったのに、違うにゃ?
めぐさん、遅れました~。
くろまる、また間違えたの~?
違うにゃ!
さっきは、正解を導くかっこいい男の背中をみせていたにゃ。
はは、今まで見たことないよ~笑
そうね。
いつも記憶にないか、間違っているわね。
にゃ泣
うそうそ。
話を戻すわね。
心停止の問題点は、心臓と脳をはじめとした、重要な臓器への酸素供給が止まっていることよ。
はいにゃ。
なので、心臓と脳をはじめとした臓器に酸素を送るのが、最初の目標になるの。
じゃ、酸素を心臓と脳に送るには、まず何をすればいい?
人工呼吸にゃ!
半分正解だけど、は・ず・れ笑
やっぱり笑
早くそのかっこいい背中見せてちょ~だい♡
にゃ。にゃ。
(残った消去法で)、胸骨圧迫にゃ
そう!正解。
まずは、血液が流れないと酸素は届かないから、血液を流すことを考えるの。
だから心停止を判断したら、まず最初にやることは、質の高い胸骨圧迫という事ね。
だから、心停止を目撃したら「10秒以内に胸を押しましよょう」なんて表現がされてるのね。
心停止と判断したらすぐ「胸骨圧迫」開始
よく、「AED講習」や「救命救命セミナー~AEDを知ろう!~」などのコースが開催されています。
この表題を見ると、AEDを知っていたら心停止の人を救えると、思ってしまいそうです。
しかし実際は、AEDだけでは助からないケースが多数を占めます。
AEDは特定の心電図波形を伴った心臓を、通常に戻すことを目的にした機械です。
それ以外の役割を果たしませんので、まずは質の高い心肺蘇生の開始が重要です。
心停止の人を助けるのは「心肺蘇生+AED」、すなわち体系だったBLSです。
でも、さっき「AED」も「人工呼吸」も半分正解って言っていたけどあれはにゃに?
いい質問ね。
心停止には、4つの分類があったわね。
本来は、その分類ごとにやりたいことが違ったりするの。
そうにゃの?
先にAEDについて話すね。
AEDが心臓に電気を流す時って、心臓がどういう状態のとき?
はい!
心室細動(VF)と、無脈性心室頻拍(pVT)です。
かっこいい背中にゃ。
そうね。
その場合だと、早期にAEDで電気ショックを流せば助かる可能性はすごく高いわ。
じゃ、無脈性心室頻拍(PEA)、心静止だったとしたら?
AEDを持ってきても、電気ショックを流してくれません。
そうね。
「電気ショックは不要です。必要であれば心肺蘇生を開始してください」なんてAEDが言うわ。
AEDは、心臓ペースメーカーではないから、心静止になっている心臓は動かしてはくれないの。
そういう時は、質の高い心肺蘇生が最後の砦になるってことね。
じゃ、心静止だったら、AEDは準備の必要もないにゃ?
本当に「心静止と判断できるのであれば」、ね。
でも、さっきのケースで考えてみて。
川べりで子どもが浮いていたのを見つけたの。
体温は、まだ冷たくなり切っていなかったとするね。
心静止って、判断できる?
無理にゃ。
そうね。
つまり、AEDが必要か、必要ないか判断の無理という事ね。
たとえ医師であっても、心室細動(VF)なのか心静止なのか、心電図モニターがない限り、診断はできないわ。
じゃ、どうするにゃ?
胸骨圧迫をしながら、できるだけ早くAEDが使える準備をすればいいんじゃない?
ショックが必要かどうかは、やってみないと分からないけど、早く試す価値はありますよね。
そのとおりね。
AEDが解析して初めてわかるの。
だから早くAEDを持ってきてもらうことが重要よ。
でも、電気ショック不要なケースだったとしたら、その人の命は心肺蘇生にかかってるの。
だから、質の高い心肺蘇生も継続しながら、同時進行でAEDを早く持ってきてもらうことが大切ね。
まず胸骨圧迫を開始。
電気が流れるかどうかはやってみないと分からないけど、可能性は否定できないから急いでAEDの準備。
ということは、理解したにゃ。
もう一つの人工呼吸は、どうにゃ?
人工呼吸も、本来は必要がある時とないときがあるの。
さっきの、10歳の子どもが川で浮いていた事例ね。
人工呼吸が必要な場合と必要でない場合を、考えてみて。
溺れたと考えると、必要ですよね。
息ができなくなって、心停止だから体の酸素使い果たしている可能性があると思います。
でも、人工呼吸必要ないケース、、?
簡単にゃ。
直接口をつけると、ばい菌がうつる可能性がある時にゃ。
後で話題にしようとしてたことを、先に言っちゃったわね怒
質問の意図を考えてちょうだい。
これは世間一般的にいう、正解だけど、めぐさん的には正解ではなかったってやつにゃ。
言ってくれた通り感染防護は大切。
でもここでは、蘇生科学の面を考えてみましょ。
例えば、心室細動が起きた直後だったとしたらどう?
あ、そうか!
急に血液の流れが止まるから、まだ酸素が使われなくて残っている可能性があるってことですね。
その通りよ。
その場合だったら、しばらくは人工呼吸しなくても、胸骨圧迫だけで何とかなる場合があるの。
でも、それって判断できる?
できないにゃ。
心室細動(VF)だったとすれば、人工呼吸いらない「かも」ですけど、、
溺れた結果だったとしたら、人工呼吸やらない絶対助からない可能性もあるってことね。
その通りよ。
そう考えると、人工呼吸も大切だと思わない?
はい!思います!
ということで、
心停止の種類によって、効果があることと、効果が薄いことが存在するの。
でも、状況を判断して、取捨選択するのは困難ね。
じゃ、どうすればいいかというとすごくシンプル。
心停止を目撃したら
①反応がなく普段通りの呼吸がない又は死線期呼吸であれば、10秒以内に胸を押す。
②AEDが届けば、電源を入れて音声アナウンスに従う。
③感染防護が確実にできて、実施する意思があれば人工呼吸を行う。
この3つを、迅速に実施するのよ。
でも、めぐさん。
一般的には、感染防護の懸念から、人工呼吸はしない方向で指針が出ていますよね?
さっきの、くろまる君の話ね。
とても重要な件。
例えば、町を歩いていてたまたま、心停止傷病者に出会った場合であれば、人工呼吸はしなくていいと思うの。
だって、人工呼吸の感染対策の道具なんて持っていないでしょ?
その場合は、人工呼吸は省いて、胸骨圧迫とAEDの使用のみ、という選択肢があるわ。
でもね。
子どものキャンプの引率で、利用者の子どもが川に浮いていたとしたら?
胸骨圧迫、人工呼吸、AED全部試したいにゃ。
そう。
助かる可能性を考えると、人工呼吸も試したいよね。
引率者には対応義務もあるから、人工呼吸をやらないという選択肢も低くなるわ。
でも口を直接つけて、人工呼吸をやるわけにはいかないよね。
相手に自分の顔を近づけるだけでも、飛んでくる飛沫を吸い込むこともあるわ。
だから、職業上対応義務があるのであれば、人工呼吸用の感染防護具の準備が必要ってことね。
感染防護具としては、バックバルブマスクがおすすめよ。
でも、置いてあるだけじゃだめで、安全に使用できる訓練も大事ね。
わかったにゃ!
はーい。
でも、医療者だったらどうなの?
医療者なら、もっと考えた行動が必要ね。
次に、その話を考えてみましょ。